[自作キーボード] CNC加工のケースを設計・発注してみた
下記の記事の続き。
3Dプリントでケースの造形に失敗したので、今度はCNC加工でケース作成を試みる。
3Dプリンタでダメだとすると、切削してカバーを作るのがよさそう。
ただし、CNC加工でのケースを設計する場合はドリルで削るということを踏まえた設計が必要になる。
ざっくりいうと、円形のエンドミルでは直角部分の加工ができないため、ドリルで切削することを踏まえてフィレットをつけておく必要がある。
詳しくは巷のネット記事や「自作キーボード設計ガイド Vol2 ケース設計編」を参照。
例えば前回は下記のような斜めの溝を作ってカバーをケース本体に固定していたが、この鋭角の溝は普通の丸いエンドミルでは切削できない(はず)。
ということでCNCで加工できそうな形に修正することにした。
設計
カバーと接する部分はZではなくS字の溝にした。
JLCPCBのDesign Guidelineを見る限り0.5mmのRはいけそうだったので、最小Rは0.5mmでフィレットをつける。
カバー固定用の突起(下図の赤い部分)にもフィレットをつける。
Beforeの状態を加工できるイメージが湧かなかったので。でも実はBeforeの状態でもイケちゃうのかな〜。
自分でCNCの加工をやった経験がほぼないから分からん。これはCNCを買って経験を積むチャンス??? (買えない)
他にも気になるところはどんどんフィレットを追加していく。
手に触れる部分はなるべく角を面取りした方が良いというアドバイスもあったので、面取りも設定していく。
基本的にはバリ取りされてる程度(糸面取り)で良かったんだけど、JLCPCBでは糸面取りも図面なり3Dモデルなりで数値での明示的な指示が必要なようだったので、モデルに0.2mm程度の面取りを施した。
複雑な曲線だと面取りできない(エラーになってしまう)箇所もあって、こういうのはどうすべきなんだろうと思った。(未解決)
ちなみに面取りしなかった時にどのくらい危ないのかも確認したかったので、一部はあえて面取りしないで残したりした。
あとは前回のケースで見つけた改善点などもついでに直す。
発注
JLCCNCで発注。
ABSの切削で発注してみたところ、「プラスチックで大きいモデルなので変形のリスクがあるが、それでも良いか?」という確認メールが届いた。
Since the material is plastic and the size is large, there is a higher risk of deformation after machining.
うーん、切削でも結局変形してしまうのか...
調べたところ、切削時の熱で変形することはあるらしい。
変形リスクを下げる方法がないか聞いてみたが、モデルを修正したり他のプラスチック素材に変えたりしたところで変形のリスクは残ってしまうということで、アルミ素材への変更をオススメされた。
実際どのくらい変形する可能性があるのだろうか?
YouTubeでABSの加工失敗例を探したが全然見つからず、イメージが湧かない...
Perplexity曰く「CNC切削時のABSの変形は0.1mm~1mm程度」らしい。根拠は不明。
最終的に本体はABSのままで、カバーをアルミに変更して発注した。
金属を使うことを加味して少しモデルの修正も行なった。(厚みを薄くしたり、さらに多くの面取りを施したり)
本体は3Dプリントの時にうまくいっていたので、今回もあまり変形しないのでは...ということでリスクを受け入れた。
全部をアルミに変える案もあったが、そうするとスライド固定の使い勝手が悪くなりそうだし、最悪カバーをつけたが最後、一切外せなくなる未来も見えたので却下した。
変形したらしたでどう変形するのか知れるので無意味ではないと思う。
ついでにアルミの仕上げがどんなものか知れるので楽しみ。
届いたものの確認
発注してから10日で発送された。最初の見積もりより時間がかかったので、気長に待つべし。
ボトムパーツ

素材はABS(Black)、仕上げはSpray painting-Black-Matte。
予想通り反らなかった。

カバー用のガイドレールや固定用の突起は期待通りに切削されていた。素晴らしい! (白いホコリは開封後についたもの)
マットな質感はとても良いのだが、綿棒で擦ると黒い塗装がすこし移る。
普通に使ってる分には手に黒いのがついたりはしなさそうだけど、頻繁に持ち運ぶとバッグに色が移るかも。

底面に設けたいろんなくぼみは面取り忘れたけど、バリは残ってなかったし手を切るほど鋭いわけでもなかった。細かいところは面取りなしでも問題なさそう。

カバー上側


素材はAluminum 6061、仕上げはBead blasting + Anodizing-Black-Matte。
加工は完璧。もちろん反ってない。
金属使って重くなるかと心配したけど、意外と軽い。
こちらのマットな質感も良い。アノダイジングによる色付けだから擦って色が落ちるようなこともない。
よーく見ると切削跡みたいなものが見えるが、全然気にならないレベル。

こちらもあえて糸面取りしなかった箇所があるが、スパッと皮膚が切れるほど鋭いわけでもなかった。角ばってるけど普通に触る分には怪我しないと思う。
そりゃ勢いつけて体に当たったら怪我するだろうけど、それは面取りしたとて同じことになるだろうなと思う。
カバー下側


素材はAluminum 6061、仕上げはBead blasting + Anodizing-Champagne-Matte。
感想はカバー上側とほぼ一緒。こっちの色もめちゃくちゃ良い。
固定用の突起に合わせたくぼみも期待通りできている。
(一部、ボトムパーツをつけ外しした時に黒い塗料が移ってしまった)

完成
カバーを全て外した図。電池交換する時はこんな感じ。Good...
ついでにキースイッチやキーキャップを良さげなものに変えている。

持ち運び用に全てのカバーをつけたときの図。So cool...
試したい塗装を全部試しただけでデザインは度外視だったけど、意外とかっこよく見える。
カバーの固定機構も一応うまく動いている。最初は固くて脱着しづらかったが、何回かつけ外ししているとABS側が削れてくるのか、少しやりやすくなってきた。

穴の位置もとりあえずオッケー。日和ってだいぶデカくあけてる。
既製品みたくUSBの穴だけ綺麗にあけたいけど、そのためには端子を筐体の表面まで持ってこないといけなくて、そうなるとBLE Micro Proとか使ってられないんじゃないの? 端子だけ出っぱるような専用基板が必要になるんじゃないの?既製品がどうやってるのか知りたい。

使ってみた図
iPadと一緒に使ってみた。
使ってるとき、何気にカバーが邪魔かも。
この時はiPadの土台としてお茶を濁している。
iPadの純正カバーみたいにめくってキーボードに貼り付けておけるといいなと思う。

費用

クーポンや送料込みで、日本円にして約3万円。仕方ないけど高い...
カバーが意外と高い。やっぱりヘコんだ形状は難しいのかな。
失敗した3Dプリントも含め今までの全てを合わせると6~7万円かかった。
ここまでくると、キット売りのキーボードが2~3万円で済むの、安く感じてくるな。
終わりに
高くついたけど、元々考えていたものがとりあえず出来上がって良かった。
CNC加工を依頼するのも初めてだったし、どういう質感・仕上げになるのかを知れたのは良い経験だった。
まだカバーの固定方法には納得がいってない。
こういう時に相談に乗ってくれる窓口が欲しい。自キのDiscordがそれにあたるかもだけど、個人制作向け有料コンサル的なのもあれば相談してみたい。







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